エピソード





◆ バイクに乗ってないと見れない景色

◆ 初めての北海道

◆ 混浴露天風呂

◆ オフロードバイク

◆ 高濱さんとの出会い















バイクに乗っていないと見れない景色


  18才の夏 「みんなで海へ行こう!」
  ということになった
  男女6人で行くことになったのだが
  男3人はそれぞれとりたての免許で買ったばかりの車やバイクででかけた
  今思うと2時間くらいの距離なのであっという間だが
  当時の僕らには長旅に思えた

  初めて走る道
  不安な運転技術
  真夏の照りつける日差し
  車とバイクのペースの違い
  タンデム
  いろんな理由が僕らを疲れさせた
  道に迷いそこらじゅうの人に道を聞いて目的地を目指す

  そしてやっとの思いで見えた海
  その瞬間を僕らは忘れない
  そのとき見た海は今まで見た海とは全く違って見えた
  光があふれていて眩いばかりに輝いていた
  海とはこんなに輝くものかと心から感動した

  これが「バイクに乗っていないと見れない景色」との出会いだった





初めての北海道


  ある日バイクに乗っている友人から
  「今度北海道ツーリング行かへん?」
  と誘われた
  「そうやなー 行ってみよかー オレ旅行好きやし」
  という軽い気持ちでOKした
  それまでの俺と言えばバイクは主に通学とバイト行くときの交通手段だった
  バイクで長距離の旅行なんていったこと無かったし
  泊まりのツーリングなんて想像もつかなかった
  「宿泊はテントで食事は基本的に自炊」と言われたので
  アルペンでとりあずシェラフ(880円)とコッフェル(一番安いやつ)を買った
  そして7人の団体で北海道行きのフェリーに乗り込んだ
  当時オレは何も知らなかったので
  ツーリングと言えど全然期待に胸が膨らむことなど無かった
  しかし、北海道について走ってみると
  それはもう当時住んでいた大阪とはバイク乗りにとって別世界だった

  地平線まで伸びる道
  雄大な大自然
  スケールの違う牧草地
  どこまでも続くカントリーロード
  気温の低さ
  最初は照れたピースサイン
  初めてのテント生活
  一日中バイクと一緒の生活
  雨の冷たさ
  食べ物のおいしさ
  天然の露天風呂
  未舗装の道の奥にある絶景
  初めて会う人達とのふれあい

  それらのすべてが新鮮だった
  そしてそれらのすべてを体験できたことに幸せを感じた
  もうやめられなくなってしまった
  




混浴温泉


  ツーリングをしている時にオレはよく混浴温泉を利用する
  そりゃ混浴の温泉とそうでない温泉があったら迷わず混浴温泉に入るでしょ?
  ところが何度入ってもそこはおっさんとかツーリングライダー等で満たされている
  たまに女の子がいたりしても温泉に入らずにちょっと見て引き返したりだ
  こうなったら意地でも女の子と一緒に入ってやると混浴温泉に入り続けた
  聞いた話では夜になると結構女性もやってくるといっていたが
  夜にほとんど真っ暗の中一緒に入っても意味が無い

  そしてニセコ近くの平田内温泉でその時はやってきた
  そこで出会ったライダーと話しながら温泉につかっていると
  脱衣所のほうからなにやら黄色い声が!
  若い!それも数人いる!
  オレはそのツーリングライダーと目を合わせ小さくガッツポーズをとった
  そしてその女子大生の団体が湯船のほうにやってきた
  「なんじゃそりゃ〜〜!!」
  全員ちゃっかりと水着着用!!
  「お前ら風呂入るときに水着着るんかい!!」
  と心の中で思ったけれど
  この状況はなぜかめちゃくちゃ恥ずかしい
  風呂に裸で入るのが正しいはずなのに
  なぜだかこちらが肩身の狭い感じになってしまう
  そしてキャッキャッと騒ぐ女の子たちを尻目に
  負け犬のような気分でこそこそと風呂からあがった

  全ての混浴温泉が水着着用禁止になればいいのにと心から思った





  

オフロードバイク


  免許を取って最初に買ったのがオンロードバイクだった
  それ以来バイク=オンロードの図式が僕の中では出来上がってしまった
  その時はオフ乗りの人達をみると
  あんなドロドロの中走って何が面白いんだろうと思っていた

  北海道にツーリングに行くようになり
  ダートの奥に素敵な景色や秘境感たっぷりの温泉があることを知ってから
  少しづつオフロードバイクに興味が出てきた
  オンロードバイクでダートを走るのは少なからず恐怖心があり
  ガレガレやヌタヌタの場所では引き返さなければならなかったり
  女の子にぶち抜かれたりしているうちに
  一度オフロードバイクで北海道を回ってみたいと思うようになった

  そしてオフロードバイクを手に入れ北海道に行ってみると
  行動範囲が広がった
  先に道が続いていなさそうな林道でもオフロードバイクならガンガンいける
  ダートを走るのが楽しくてしょうがなかった
  オフロードバイクで行くと北海道はまた違った顔を見せてくれた
  こうしてオフロードバイクにどっぷりはまっていくのである




  

高濱さんとの出会い


  オフロードに興味を持ち初め、アネックスの存在を知って少したった頃
  たまたま平日に休みが取れてアネックスに走りに行こうと思った

  バイクはDトラッカー
  21インチホイルにエンデューロタイヤを履かせている
  恐らくモトクロスコースを走るのは3回目くらいだったと思う
  アネックスに到着するとさすが平日!誰も走っていない
  貸切やん!初心者の俺にはちょうどいい!
  雨上がりでコースはヌタヌタだったが初心者の俺はこんなもんだと思い込んで走る

  マディーのアネックスは手強くなかなかバイクが真っ直ぐ走らない
  ストレート蛇行しながら走ったりしてるうちに
  わちゃ〜
  やってしまった
  池にはまった

  引きずり出そうと一人でもがくが、どうにもならない
  もがいてもがいてだんだん体力がなくなってきた
  コースには誰も走っていないのでどうしたものかと思っていたが
  一人で引き上げるのはあきらめ、誰かに手伝ってもらおうと思いコースから出た
  すると駐車場の方に男の人が一人だけいたので助けを求めた
  するとその人は
  「ええよ〜ちょっとまっといてな」
  とものすごく落ち着いた様子だった
  待っているとその人は長靴をはいてバイクに乗ってきた
  排気音の大きな赤いバイクだった

  二人でバイクの所まで行き力を合わせて引き上げる
  しかし俺はそれまでもがいていたせいで体力はあんまり残っていなかった
  それでもその人はすごいパワーでグイグイバイクを引っ張る
  「めっちゃ重い〜 腕ちぎれる〜」とか言いながらほとんどその人の力でバイクを引きずり出した
  「ありがとうございます!ホントに助かりました」と言うと
  「ええよ〜俺もよくはまったりするから」と笑顔で答えてくれた
  何かお礼をしなければいけないと思い、自動販売機でポカリを買って持って行くと
  「そんなんええのに」
  と言って受け取ってくれた
  助けを求めたのが気のいい人でよかった
  その後も何度もお礼を言ってとりあえずそのときはそれで帰った

  そして数日後
  本屋でモトクロス雑誌を立ち読みしているとなんとその人が載っていた!
  しかも元全日本チャンピオン!!!!
  めちゃくちゃすごい人だったんだとこのとき初めて知った

  それ以来全日本には毎回チームハマーを応援しに行ってます